2021/07/08
食料備蓄の目安量や保管方法は?備蓄食料の1週間分のリストや非常食になるものも解説
自然災害はいつ自分の身に降りかかるか予測できません。だからこそ、日頃からの備えが大切です。
この記事では、災害時に必要とされる非常食の適切な量や、正しい保管方法、保管場所、非常食の選び方について詳しく解説していきます。
これから食料などの備蓄を始める方は、ぜひ参考にしてみてください。
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食料品備蓄の目安量
まずは、食料品を備蓄する際の目安となる量を見ていきましょう。
最低でも3日分の非常食を
非常食の量の目安として、最低でも3日分は見ておきましょう。
何故3日分なのか、理由は以下のとおりです。
- 電気や水道、ガスなどのライフラインの復旧に約72時間かかるため
- 災害後の72時間は人命救助、救急活動を最優先して動いていることから、物資の支援が遅くなってしまう可能性があるため
これらのことから、最低でも3日分は必要であることがわかります。1週間分以上の備蓄を用意できればなお良いでしょう。
水の備蓄も必須
成人が1日当たり必要とする水の量はおよそ3リットルと言われています。
そのうち、2リットルが飲料水として必要な水、残りの1リットルは生活用水(手洗いなど)として必要です。つまり、それらを3日分に換算すると9リットル必要ということになります。
また、お子さんがいる家庭はこちらを参考にしてみてください。
- 乳幼児の場合
体重1キログラムあたり150ミリリットルが必要。 - 小学生の場合
体重1キログラムあたり80ミリリットルが必要。 - 体重が40キログラム以上の子供の場合
成人と同じ量で換算する。
先ほど解説した中にお風呂やトイレなどの水は含まれていないため、別途用意が必要です。
食料品を1か月備蓄する場合
食料品を1か月分備蓄する場合、さらに多くの食料を用意しておく必要があります。
1日3食を前提とすると、1か月に必要なのは1人あたり90食になります。
災害時は長期保存できる非常食が適していますが、同じ種類のものばかりでは飽きてしまいますし、栄養も偏ります。
最近では非常食もバラエティに富んでいるので、できるだけたくさんの種類を用意しましょう。主食だけでもパンやごはん、麺類があります。
基本的には、そのまま食べられるのが中心ですが、カセットコンロとカセットボンベがあれば、食事の幅が広がるでしょう。
非常食を用意するときは1食、試しに食べてみて味を確認するのがおすすめです。好みに合わなければ敬遠されて無駄になってしまいます。
非常食をどのように用意していいかわからない方は非常食になるものの選び方を参考にしてみてください。
備蓄食料の1週間分のリスト
次は、農林水産省が公開している「災害時に備えた食品ストックガイド」の情報を基に、大人2人の1週間分の食品備蓄リストをご紹介します。
食料備蓄の例(1週間分/大人2名)
- 必需品
・水(飲料水・調理用水)...48リットル(2リットル×6本×4箱)
・カセットコンロ...1個
・カセットボンベ(調理用)...12本 - 主食(炭水化物)
・米...4キロ(2キロ×2袋)
・乾麺...そうめん600グラム(300グラム×2袋)+パスタ1200グラム(600グラム×2袋)
・カップ麺類...6個
・パックご飯...6個 - 主菜(タンパク質)
・レトルト食品...24個(牛丼の素・カレー等×18個、パスタソース×6個)
・缶詰(肉・魚)...お好みのもの×18缶 - 副菜・その他
・日持ちする野菜類(たまねぎ・じゃがいも等)
・調味料(砂糖・塩・醤油・めんつゆ等)
・梅干し・のり・乾燥わかめ等
・インスタント味噌汁、即席スープ等
・野菜ジュース・果汁ジュース等
・チョコレートなどの菓子類
上記の例は大人2人で1週間分の例なので、実際の人数に応じて食品備蓄の量を調整してみましょう。
備蓄する食料品の保管方法
次は、備蓄する食料品を保管する際のポイントを見ていきましょう。
賞味期限をチェック
非常食を保管していく中で欠かせない「賞味期限」についてみていきましょう。
非常食は一度買えば終わりではありません。意外と賞味期限が短いものもあるのでチェックしていきましょう。
- アルファ米:約5年
- おかゆ:約半年~1年
- パン:約3年
- 乾麺:約半年~1年
- レトルト食品:約1年~2年
- 缶詰:約2年~3年
- 乾パン:約3年~5年
- 板チョコレート:約半年~1年
こうして確認してみると、食べ物によって賞味期限がバラバラで、中には1年程度しかもたないものもあることがわかりますね。
そのため、食品ごとの管理が難しいと思う人もいるかもしれません。
そんな方におすすめなのが「ローリングストック法」です。
ローリングストック法とは?
ローリングストック法とは非常食を日常の食事でも使い、使った分だけ買い足ししていく方法のことです。
非常食だから災害時にしか食べない、というのではなく、日々の食事に取り入れながら3日分の量をキープしておきましょう。
ローリングストック法のメリットとしては以下のことが挙げられます。
ローリングストック法のメリット
- 非常食の賞味期限切れを防ぐことができる
- 災害時の買いだめを防ぐことができる
- 普段から食べることで、非常食の味に慣れることができる
食材の使用頻度としては、こちらを参考にしてみてください。
- カップ麺、缶詰、レトルト食品、乾麺などは1か月に1回
- 保存期間が3年以上のものは、保存期間の半分が過ぎたら使う
ローリングストック法はメリットも多く、実践しやすいため、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ローリングストックのコツ
ローリングストックのコツは、在庫管理をしやすく収納すること。
在庫管理ができると、非常食の賞味期限切れや、必要以上に購入してしまうのを防ぐことができます。
非常食をケースに入れてストックする場合は、ケースに在庫量と賞味期限を記載しておくと、一目で在庫管理ができます。
引き出しなどにしまってストックするなら、賞味期限が近いものを手前に収納するのがいいでしょう。
非常食の保管場所は?
食料品の備蓄は、どこに保管しておくのが良いのでしょうか。
次は、非常食の保管場所を選ぶポイントについて見ていきましょう。
- 自宅での保管が基本
- 温度変化が少なく風通しが良いところ
- トランクルームでの分散備蓄も一策
自宅での保管が基本
食料品の備蓄場所は、当然ではありますが家の中が基本となります。
ただし、できることなら2か所以上にわけて保管するのがポイントです。
なぜなら災害時、非常食が置いてある場所に必ずしもたどり着けるわけではないからです。
原因として、地震で家が歪んでしまったときなどが考えられますね。
1か所にまとめて置いてしまうと、非常食を用意していたのにも関わらず食べられなかったということになりかねません。
また、避難経路に沿った場所に非常食を置いておくというのも大切なポイントです。
実際に避難するときに、非常食を取りに行って怪我でもしたら元も子もありませんよね。
そのため、玄関付近や、廊下など、すぐに持ち出せるようなところに置いておきましょう。
温度変化が少なく風通しが良いところ
また、非常食は温度変化が少なく、風通しの良いところに保管しましょう。
高温多湿な場所や、直射日光の当たる場所に保管するのは、おすすめできません。
缶詰などは密閉されているから「多少は平気なのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そのような場所に置いておくと熱で成分が分解され、劣化する恐れがあります。
そのため、必ず温度変化が少なく、風通しの良いところで保管するようにしましょう。
トランクルームでの分散備蓄も一策
家に大量の非常食を置くスペースがない、とお悩みの方にはトランクルームの利用もおすすめです。
トランクルームとは収納スペースをレンタルできるサービスで、分散備蓄するためのスペースとしても注目を集めています。
防災グッズも保管しておけば、万が一自宅に立ち入れなくなった場合でも、食料品の備蓄とあわせて持ち出すことができるでしょう。
栄養バランスにも配慮した食料備蓄を
非常時と言えども、健康を損なうことなく過ごすためには栄養バランスにも配慮することが大切です。
次は、非常時でも栄養バランスを整えるためのポイントを見ていきましょう。
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主食
ご飯やパン、麺類などの主食に含まれる炭水化物はエネルギー源になります。体力の消耗を防ぐためにも、しっかり食べましょう。
お米であればレトルトのものが充実しており、水を注ぐだけで食べられる「アルファ米」もあります。
食欲がないときのために、おかゆもあると重宝します。炊ける環境にあるなら、無洗米を使うと研ぐために水を消費しません。
麺類ではラーメンやうどん、そば、パスタなどがあり、最近ではインスタントでも生に近い食感のものが増えています。
パンでは、乾パンが保存にも腹持ちにも優れていますが、それだけでは物足りなさを感じてしまうかもしれません。こちらも、ふわふわの状態で缶詰に入ったものがあります。
また、栄養補給用のバーやクッキー、ビスケットもパン代わりになりそうです。
小麦粉があるとチヂミなど主食になるものを手作りできます。メニューによっては、ホットケーキミックスやお好み焼き粉でも構いません。
主菜
肉や魚といった主菜は、体を作るタンパク質が豊富ですから、1食につき1品は用意したいところです。
缶詰なら開けるだけで、そのまま食べられます。味付けも醤油やみそ、塩など飽きさせません。
レトルトであれば、シチューやマーボー豆腐などの一品料理を楽しめます。
ライフラインが止まっているときは、食べ残しを保存するのが難しいため、1回で食べ切れるサイズが望ましいでしょう。
副菜
付け合わせや汁物といった副菜も用意できるとなおよいでしょう。
付け合わせはビタミンやミネラル、食物繊維が補給できますし、温かい汁物は体を温めてくれます。
缶詰やレトルトを利用すれば簡単ですが、調理できる環境にあるなら、玉ねぎやイモ類など長期保存できる野菜を活用しましょう。
缶詰に入っている野菜でも、栄養は損なわれていません。
どうしても野菜類が手に入らないときは、野菜ジュースでもそれなりに栄養を補給できます。
果物
食事以外にも、甘い果物があればデザート代わりになりますし、野菜と同様にビタミンやミネラル、食物繊維を補給できます。
常温でも長期間保存できるのは、りんごやみかん、柿です。りんごは1ヶ月、みかんや柿は2週間ほど保存できます。
長期間保存したい場合は、ドライフルーツや缶詰を利用すると良いでしょう。果物の美味しいところが凝縮されていますし、皮をむく手間もありません。
どうしても果物が手に入らない場合は、100%のジュースで代用できます。ただし、糖分が多いので飲み過ぎには注意です。
その他おすすめの備蓄食品
主菜や副菜があっても、ちょっと変化をつけたいときは「ふりかけ」がおすすめです。
佃煮などの瓶詰も箸休めになります。ほとんどは未開封なら長期間保存できるでしょう。
同様に調味料も揃えておくと味に変化をつけられます。新鮮さを保つためにパウチされたものなら、常温や長期間での保存に向いています。
また、小腹が空いたときのためにお菓子などの嗜好品があると良いでしょう。
お菓子などの嗜好品は栄養上、絶対に必要ではありませんが、甘さが気分を落ち着かせてくれます。特に子どものいる家庭は欠かせません。比較的日持ちするので、何種類か揃えておきたいところです。
赤ちゃんがいる場合は、粉ミルク(または液体ミルク)や離乳食も備蓄しましょう。
非常食になるものの選び方
非常食は、災害時の状況を想定して選ぶことが重要です。
以下のポイントを参考に、非常食を選んでみましょう。
スーパーやコンビニに売っている食品でも以下に該当するものなら非常食として活用できます。
- 長期保存できるもの
- 火や水を使わずに食べられるもの
- 食べ慣れているもの、好きなもの
- 不足する栄養素を補えるもの
長期保存できるもの
非常食は長期保存できる食品を選びましょう。
目安としては賞味期限が半年~1年程度の食品で、常温で保管できるものがいいでしょう。
賞味期限が短い食品だと、食べずに賞味期限が過ぎてしまい食品ロスにつながります。
また、いざという時に賞味期限切れで食べられないという可能性もあります。
火や水を使わずに食べられるもの
災害が発生すると、ガスや電気、水道が使えなくなってしまうことがあります。
加熱や水を使った調理不要で、そのまま食べられる食品があると便利です。
また、被害状況によってはハサミや缶切り、箸、スプーンなどが用意できないこともあるでしょう。
手で開けやすいもの、スプーン付きの非常食だと非常時に食べやすいのでおすすめです。
食べ慣れているもの、好きなもの
災害時は普段と全く異なる状況のため、心身ともに大きなストレスを感じます。
そういった状況でも普段から食べ慣れているものや、好きなものがあると安心感が生まれ、ストレスの緩和も期待できます。
不足する栄養素を補えるもの
災害時は炭水化物中心の食事が多くなり、栄養バランスが偏ってしまうことも考えられます。
栄養バランスが偏ってしまうと、心身の不調につながります。
ビタミンやタンパク質など、不足する栄養素を補える食品があるといいでしょう。
災害時に役立つパッククッキング
災害時に栄養バランスのとれた食事をする方法として、パッククッキングという調理方法が役立ちます。
パッククッキングを覚えておくと、食材を使って栄養バランスを考えた料理を作ることが可能です。
次は、パッククッキングに必要なもの、やり方をご紹介します。
パッククッキングとは
パッククッキングとは、耐熱性のポリ袋に食材や調味料を入れ、袋のまま鍋で湯せんする調理方法です。
衛生的に調理できる、洗い物が削減できる、調理に使った水を再利用できるというメリットがあり、災害時の調理方法として注目されています。
鍋の大きさによっては、一度に複数のポリ袋を加熱できるので主食とおかずを同時に調理することもできます。
パッククッキングに必要なもの
パッククッキングをするには以下が必要です。
食材と、こちらを用意しておくとガスや電気、水道といったライフラインが寸断されても、温かい料理を食べることができます。
- カセットコンロ
- カセットボンベ
- 水
- 鍋
- キッチンバサミ
- トング
- ポリ袋
※耐熱温度が130度以上のもの、または湯せん可能で厚さが0.01mm以上のもの
※無地でマチがないもの - 布巾
※鍋底にポリ袋がついて破れるのを防ぐために使用
※お皿でも代用可能
パッククッキングのやり方
いざという時のためにパッククッキングのやり方を把握しておきましょう。
調理するものによって加熱時間が違ったり、蒸らす工程が加わったりしますが、パッククッキングの基本的なやり方は以下の通りです。
- 加熱にむらが出ないように材料の大きさをそろえる
- ポリ袋に具材と調味料をいれる
- 袋の中の空気を抜く
- ポリ袋をねじって袋の上のほうで結ぶ
- 鍋に水を入れて沸かす
- 沸騰後、鍋に布巾を入れて、その上にポリ袋を置いて加熱する
- 加熱後、調理したポリ袋をトングで取り出す
- 結び目を切って袋のまま容器にのせたら完成
パッククッキングは、お米を炊いたり、ホットケーキやカレーを作ったりと多彩な調理が可能です。
自治体によっては、パッククッキングのレシピをホームページで紹介しているので、参考にしてみてください。
【災害時】調理や食事にあると便利なグッズ
災害時に調理するときや、食事するときにあると便利なグッズを紹介します。
非常食と一緒に以下の備品もストックしておくのがおすすめです。
- 食品用ポリ袋
調理する際にボウルや手袋の代わりになる。
お茶碗にかぶせて洗い物を削減できる。 - ラップ
お米に直接ふれずにおにぎりを作れる。
お皿にかぶせて洗い物を削減できる。 - アルミホイル
熱いものを載せるお皿として使える。 - クッキングシート
油がない場合のフライパンの焦げ付き防止になる。 - キッチンペーパー
布巾の代わりになる。 - 除菌スプレー
調理・食事する際の衛生を確保できる。
まとめ
今回は、食料品の備蓄に焦点を当て、目安となる量や保管のポイント、保管場所・非常食の選び方などをご紹介しました。
災害などの非常時を乗り切るためには、日頃からの準備が大切です。
今回ご紹介した情報も参考に、食料品の備蓄に取り組んでみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください