2024/05/28
【実家の片付けにうんざりする前に】スムーズに進めるコツや揉め事を防ぐ注意点を解説
親が高齢になってくると考えなくてはいけないのが実家の片付けです。今後、親と同居したり、介護施設や老人ホームへの入居を考えている場合は実家じまいをする必要があります。
実家の片付けは自分の家とは勝手が違い、簡単にはいきません。なかなか片付けが進まない現状に焦って親にきつい言葉を言ってしまったり、無断で捨ててしまったりして、親と揉めてしまうなんてことも。
そういったことを防ぐために、こちらの記事では実家の片付けのコツや注意点、親に言ってはいけない言葉などをご紹介!記事の後半では、処分しきれない物を預けておける便利な収納サービスも掲載しています。
実家の片付けを円満に進めたい方は最後までご覧ください。
Outline 読みたい項目からご覧いただけます。
実家の片付けをするタイミング
実家を片付けるタイミングとしては以下が挙げられます。
- 親が介護施設や老人ホームへ入居することになった
- 親が一軒家を引き払ってマンションに住むことになった
- 親と同居することになった
- 両親ともに亡くなって実家じまいをする
3つ目までは親が元気なうちに行う生前整理で、4つ目が親が亡くなった後にやる遺品整理にあたります。実家の片付けをするタイミングは家族によって異なると思いますが、できれば親が元気なうちに行うのが理想です。
親が亡くなってからは、近親者への連絡や葬儀、その他さまざまな手続きが発生するので、片付けを考える余裕がないでしょう。
生前整理だと親の話を聞きながら進められるので、重要な書類を誤って破棄するなどの失敗も防げます。また、現在親と離れて暮らしているなら、片付けを通して親と会話することが親孝行につながります。最後の親孝行だと思って、生前整理に取り組んでみてはいかがでしょうか。
今回は、親が介護施設や老人ホームへの入居予定がある、実家じまいをして親との同居を考えているという方に向けて実家の片付け方を紹介していきます。
実家の片付けに要する期間
実家の片付けをしようと考えている方が気になるのは片付けにかかる期間ではないでしょうか。実家の片付けは自分の家の片付けとは別物なので、1日でやりきるというのは現実的ではありません。
離れて暮らしている場合は、休日に帰省して片付けるということを考えているかもしれませんが、休日すべてを使ってやろうとすると自分自身が疲弊して片付けにうんざりしてしまいます。
無理なく進めるために短期集中ではなく、3か月など長期的な余裕をもってスケジュールを組むのがおすすめです。
親も高齢なので無理なスケジュールを組むと心身ともに負担になってしまいます。自分だけでなく親の様子を見ながら午前中だけなど時間を区切って進めるのもおすすめです。
実家の片付けで揉めないために!高齢者ならではの特徴を知ろう
実家の片付けでよくあるのが、親と揉めてけんかになってしまうこと。早く進めたいと思っても親が「いる・いらない」の分類に時間がかかったり、「全部いるから」など、はじめから処分する気のない発言にうんざりしてしまうこともあるでしょう。
しかし、親がなぜそうした言動になってしまうのか理解することで自分自身がイライラしたり、うんざりしたりして気持ちが疲弊してしまうことを防げます。以下の高齢者ならではの特徴をご覧ください。
高齢者の心理的特徴
- 注意力や集中力が続かない
- 頑固になる
- 保守的になる など
片付けが進まないのは、年齢を重ねて頑固になり、変化を嫌っている可能性があります。「いる・いらない」の判断が遅い・できないのも集中力が切れているのが原因かもしれません。
また、高齢者には身体的にも筋力・体力が低下するといった変化も現れます。久しぶりに帰省したら実家が散らかっていて驚いたという方もいらっしゃるかもしれませんが、それは身体的な理由で親が自分で片付けることが困難になっているということも考えられます。
このような高齢者ならではの特徴を知ることで、思い通りに進まない片付けに冷静に対処しやすくなります。
片付け時に親に言ってはいけない言葉
実家の片付けをスムーズに進めるためには親の反感を買わないこともポイントです。否定する言葉や親の自尊心を傷つける言葉は言わないようにしましょう。
親に言ってはいけない言葉の一例
- ゴミだから捨てなよ
- こんなのもう使わないよ
- こんなに散らかっていてだらしない
- しっかりして
- こっちも迷惑してる
- 汚い
- 邪魔
- ボケる前に片付けてよ
「汚い」や「迷惑」など自分が言われて傷つくことは親にも言わないでください。また、死や介護を連想させる言葉も使わないようにしましょう。
「ゴミだから捨てなよ」「使わないよ」といった言葉は、片付け時につい言ってしまうかもしれません。しかし、自分では価値のない物に思えても、親にとっては大切な物だから残しているのだと考えてください。自分の大切な物を否定されるのは傷つきますよね。
また、片付け時に親から「これあげるよ」と言われることもあるでしょう。そういったときは、たとえ不必要でも即座に「いらない」と否定するのではなく、いったんは受け取っておいて親が知らないところで処分するなどの気遣いも必要です。
実家の片付けを進めるコツ
実家の片付けをしたくても「どこから手を付ければいいんだろう」「そもそも片付けの仕方がわからない」と手順がイメージできない方もいらっしゃるでしょう。
実家の片付けを進めるなら以下の手順で取り組むのがおすすめです。
では、各手順ごとに説明をしていきます。
新しい住まいを見てもらう
可能であれば親に新しい住まいを見てもらいましょう。
新しい住まいを見てもらうことで、親自身がどれぐらいの荷物を持っていけるのかイメージしやすくなります。
この工程はこの後に紹介する「いる物を選ぶ」の後にやるのもOKです。いる物が多すぎて持っていけない場合、新しい住まいを見せることで親が処分しようと決心しやすくなります。
片付ける場所を決める
片付けを始める前に、まずは片付ける場所を決めましょう。
家全体で見ると実家の片付けは途方もないように思えるかもしれません。しかし、一部屋ずつ片付けていくとスッキリするたびに達成感があり、モチベーションが維持しやすくなります。また、他の部屋を片付ける際に出る荷物などを置いておくスペースも確保しやすいです。
片付ける場所は親に選んでもらう、または家庭内で転倒事故が発生しやすいところからやるという考え方もあります。
家庭内での転倒事故の発生場所
- 浴室・脱衣所
- 庭・駐車場
- ベッド・布団
- 玄関・勝手口
転倒事故により骨折してしまうと以前のように動けなくなってしまう可能性も。予期せぬけがを防ぐためにも転倒事故が発生しやすい場所から片付けを進めるのもいいでしょう。
庭がある場合、最後にやろうと思っている方もいるかもしれませんが、先にやるのがおすすめです。庭が荒れていると空き家と勘違いされ、不法投棄されたり、放火されたりするなど犯罪に巻き込まれるリスクがあります。
いる物を選ぶ
片付ける場所が決まったら、いる物を親に選んでもらいます。いる物は、新しい住まいに持っていきやすいように段ボールなどに入れておくといいでしょう。
食器など日常的に使っているものは、いる物として新しい住まいに持っていきます。高齢になると変化にストレスを感じるので、使い慣れた物があると安心につながります。
同居する場合は、鍋などがすでにあるかもしれませんが、料理好きの親なら使い慣れたものを使いたいと思っているかもしれません。「うちにあるからいらないよ」と言わず、持っていくといいでしょう。
また、親は自分の想定よりも多くの物をいる物として選ぶ可能性があります。しかし、こんなに持っていけないよと作業を止めずに、選び終わるのを待ちましょう。そして、いる物をすべて選び終わった後に「新しい住まいのスペースはこのぐらいだから、もうちょっと減らさない?」など、処分を促してみましょう。
いらない物を分別する
次に、いらない物を自治体のルールに従って分別していきます。可燃・不燃など分別してゴミ袋に入れていきましょう。
親がゴミ収集日当日にゴミを出す場合は、ゴミ袋の重さを親が運べる重さにしておきましょう。
片付け時期によってはゴミ収集日まで時間が空くこともあるでしょう。その場合は、家の空いているところに処分予定のゴミを置いておくといいでしょう。庭など外に置くと放火や不法投棄を招いてしまう恐れがあります。
家具を片付ける
いる・いらないの仕分けが終わったら家具の片付けです。長く使っている家具の場合、親が愛着を持っている可能性があります。
次の住まいにも持っていきたいようであれば、持っていくのがいいですが、スペース的に難しい場合もあるでしょう。その場合は、写真に撮って残すなど思い出として見返せるようにするという方法もあります。
押入れを片付ける
最後に手を付けたいのが押入れです。押入れにはたくさんの物が入っているので、部屋をスッキリさせてからのほうが、押入れの中身を出して整理しやすくなります。
また、これまでに何度も「いる・いらない」の仕分けをして、親自身が物を処分することに対して当初より抵抗感がなくなっていることも考えられます。
一番の難関である押入れは、親が片付けに慣れ始めた後に取り組むほうがスムーズに進めやすいです。
処分するか迷うアイテムはどうする?
片付け時に処分に迷いやすいアイテムとして挙げられるのが服、書類・手紙、アルバムです。
服と書類・手紙は捨てるかどうかの判断基準を、アルバムについてはコンパクトに保管するための方法をご紹介していきますので参考にしてみてください。
服
服は、「高かったから」「いつか着るかもしれない」という理由から処分が進みにくいアイテムです。
いつか着るかもしれないと言われた場合は、服の状態を確認してみましょう。カビやシミ、破れなどがあれば「これは着られないね」と親も諦めがつきます。
「高かったから」というのが理由であれば実際に査定してもらい、現在の価値を親に見てもらうのもいいでしょう。価値がないとわかれば、処分を後押しできます。
書類や手紙
「念のため取っておいたほうがいいのでは?」と思い、ためこみがちなのが書類や手紙などですが、重要な書類以外は処分してOKです。
家電製品などの説明書は保証期間外であれば捨てて問題ありません。光熱費の領収書もとくに取っておく必要はないでしょう。
年賀状については、直近の数年分だけ残しておくのがいいです。親が亡くなった際に、生前親しくしていた人やお世話になった人に訃報を連絡する際に使えます。
アルバム
実家にアルバムが何冊もあるという方も多いでしょう。新しい住まいにアルバムを収納できるスペースがないという場合は、アルバムから写真を出して写真だけ持っていくとかさばりにくくなります。
また、親が写真として残すことにこだわりがないのならデータ化するのもいいでしょう。写真だと紫外線や湿気の影響を受けて劣化しやすくなりますが、データにすることできれいなまま保存できるようになります。
ネガフィルムもデータ化できるサービスがあるので、大量にあって扱いに困るという場合は写真とあわせてデータ化を検討してみてください。
実家を片付ける際の注意点
続いては、実家を片付ける際に注意しておきたいことを4つご紹介します。
自分主導で進めてしまうと揉め事になったり、信頼関係が崩れてしまうことも考えられます。片付け時は、面倒でも親や兄弟・姉妹としっかりコミュニケーションを取るようにしましょう。
親の物を勝手に捨てない
実家の片付けで重要なのが親の物を勝手に捨てないことです。自分にとってはゴミに見えても親にとっては価値のある物なのだと思ってください。
親に無断で捨ててしまうと信頼関係が崩れるだけでなく、喪失感から体調不良を招いてしまうこともあります。面倒でも、いる・いらないの判断は親にしてもらうことが大切です。
親の話を聞く
高齢になると何度も同じ話をすることがありますよね。人によってはうんざりして「それ前も聞いたよ」とあしらってしまうことがあるかもしれません。しかし、できるだけ耳を傾けてあげてください。
本人にとって大事なことだから何度も言っているということも考えられます。繰り返しする話に関する物は処分せずに取っておいたほうがいいと判断できます。
また、親と離れて暮らしていると、親について知っていることが少なくなります。片付けを通して親の話にしっかりと向き合うことで親のことをよく知ることができ、有意義な時間を過ごせます。
今後、介護施設への入居や、親との同居を予定している場合、あらかじめ親の好きな物や苦手な物、性格や価値観などを知っておくと親を迎える自分のパートナーや施設の職員の方にも伝えられ、親とのコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。
環境の変化によるストレスを防ぐ
年齢を重ねると新しいことや変化を好まなくなる傾向があります。新しい環境に変わっても親に安心して過ごしてもらうには、これまでの環境にできるだけ寄せてあげるなど配慮が必要です。
使い慣れた家具や食器、置物など、実家の雰囲気を感じられる物はできるだけ新しい住まいに持っていくといいでしょう。見慣れた物があると、それが安心につながります。
古くなっているから買い替えをしようなど安易に考えずに、親の意向も確認してみてください。
兄弟・姉妹にも片付けることを伝える
自分に兄弟や姉妹がいる場合は、実家を片付けることを事前に伝えておきましょう。
もしかしたら、いっしょに手伝ってくれるかもしれません。兄弟・姉妹が協力してくれれば実家の片付けを自分一人で抱え込まずに済みます。精神的な負担が軽減されるでしょう。
兄弟・姉妹に無断で実家の片付けを進めると後々揉め事になる可能性があります。実家はかつて兄弟・姉妹も生活した場所なので、兄弟・姉妹の荷物が残っていることも考えられます。勝手に処分すると「大事な物だったのに」など後々、トラブルになってしまいます。
親の荷物の保管場所に困ったらトランクルームを活用
「まだ使うかもしれない」「新しい住まいには持っていけないのはわかっているけど、手放したくない」といったことを親に言われて、片付けがストップしてしまうこともあるでしょう。そんなときは、無理に説得せずにトランクルームを活用するのがおすすめです。
トランクルームとは、自宅以外の場所に収納・保管スペースを借りて荷物を預けておけるサービスのこと。屋内型トランクルームなら0.5帖~6帖などさまざまな広さの収納スペースが用意されているので、預けたい荷物の量にあわせて必要な収納スペースを選ぶことができます。
トランクルームを活用することで、日用品や思い出の品、家具など新しい住まいに入りきらない親の荷物を取っておくことができます。泣く泣く処分するといったことを防げるので親の気持ちを傷つけずに片付けをやり遂げることができるでしょう。
実家の片付けを円満に進めるには、親の納得感が大事です。無理にいる・いらないの判断をさせずに、本人がどうしたいか決心するまで一時保管しておくといった選択肢も残しておいてください。
実家の片付けに疲れたら業者の手を借りよう
実家の片付けはとても大変な作業です。人によっては気力・体力がもたずに心が折れそうになることもあるでしょう。そういったときは、無理せず業者を頼りましょう。
不用品回収業者
「いる・いらない」の分類まで済んでいるなら、その後の処分は不用品回収業者に依頼しましょう。ゴミの処分や、家具家電の回収・処分、粗大ごみの回収・処分など、面倒な作業をまかせられます。
不用品回収業者に依頼する場合は、見積もりや作業当日の立ち合いは親に任せず、自分が担当しましょう。とくに見積もりの場合は、親が業者と交渉できず、高額な見積もりを出される可能性があります。
生前整理・遺品整理業者
実家に物が多すぎる、一人っ子で人手が足りない、遠方に住んでいて片付けのために何度も帰省できないといった場合は、生前整理・遺品整理業者に依頼しましょう。物の仕分けから不用品の処理、清掃までお願いできます。
依頼する際は、実績の有無や、料金体系が明確かどうかを確認しましょう。業者によっては追加費用が発生し、思わぬ出費になることもあります。
まとめ
今回は、親と同居を考えている、親が介護施設や老人ホームへ入居予定という方に向けて実家の片付け方をご紹介しました。実家の片付けをするうえで一番大事なのが親の気持ちです。処分を迫ったり、勝手に捨てたりするのはやめましょう。
実家の片付け時に判断に迷う物がでてきたら、トランクルームの利用を検討してみてください。トランクルームがあれば新しい住まいに持っていけない物でも一時的に保管しておくことが可能です。たとえ使わなくても、その物があるという事実が親にとって心の支えになることもあります。
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